元・野良ちゃんで肢を無くしたリオンとFIPでも元気に頑張ってる局長の日々。


by lyon-sion
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じぶんのもの。

無事、引越しました。

リオンの検診や、捕獲に至るまでのことはちょっと長くなるので
この週末に書こうと思っています。

とりあえず引っ越して4日目の夜。

捕獲以来、排泄は引越しの夜のキャリーの中でおもらしをしただけでした。
そのおもらしした小さい毛布を、ネコトイレの中に置いていたのですが
ずっと排泄はないままでした。

でも、一昨日の夜にちゃんとトイレでおしっこをしてくれた跡がありました。
夕べはうんちもそこでしてくれました。

こんなこと、ネコちゃんと暮らしている方だったら
当たり前のことだとは分っているのですが
ケヅメリクガメさんとしか暮らしたことのない私は、
オシメをさせられるようになる体の大きさになるまで
床にダイレクトに排泄してもらい
それを毎晩のように、エタノール片手に拭いていました。

今思えば、毎日が大掃除なみの日々でした。

ですから、リオンについても
しばらくは、トイレをちゃんと認識するまで
そこらへんで排泄するものだとばっかり思っていました。

それが・・・

1度トイレでしてからは、ちゃんとそこでしてくれる。

もうなんというか、感動、です。

うちは猫砂ではなく、消臭球を網の上に敷いて、おしっこは
その下のペットシーツに流れるタイプのものを使っています。

なので、 排泄物に砂をかけようと
その消臭球をガサガサ勢いよくかけてはくれるのですが
いささか勢いが良すぎるらしく、トイレの周りに散らばるほどです。


でも、これがリオンが最初に覚えた、自分のモノ、なのかもしれません。



【お礼】
コメント、ありがとうございます。
やっとネット環境が整って、ちゃんと読ませていただきました。
リオンを暖かく見守り、また、迎えてくださって本当にありがとうございます。

リオンとの暮らしは、本当にこれから、ですが
少しずつ室内を覚えてもらい、警戒心を解き
くつろげる場所を作って行きたいと思っています。

お返事は、明日、書かせていただきます。
まずは、取り急ぎお礼まで。
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# by lyon-sion | 2006-12-22 01:00 | リオンの日々 | Trackback | Comments(6)

私の幸せのモノトーン

リオン、無事捕まえることができました。

とりあえず、もう、この子達に凍える夜は一生ありません。
空腹に耐える時間もきません。

とりあえず、今日はおちつくまでキャリーの中でゆっくりしてもらおうと思います。
警戒しながらも、私達の顔は覚えていたようで
キャリーの中からこちらをじっと観察しています。


キャリーへ移すとき、逃げて寝室のベッドの上を走りました。
シーツに血がついていました。
傷は、まだ固まっていなかったようです。

明日病院へ連れて行きます。

また詳しく書きます。

毎日、ほぼ同じ人数の方々が
見に来てくださっていますが
見守ってくださってありがとうございました。

取り急ぎ、ご報告まで。



・・・これからは、少しずつ幸せを一緒に作っていく
ブログを書いていけたらと思っています。
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# by lyon-sion | 2006-12-14 01:16 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(16)

ネコニエサヲアタエルナ

ネ コ ニ エ サ ヲ ア タ エ ル ナ


そう宣告があった。

追い詰められた。

だから私は、最後の賭けに出る。



猫の神様、
たがが1ヵ月半、毎夜ごはんを置きに行き
それを私自身、「つらい」と感じたことを許してほしい。

寒かった。
仕事で疲れてた。
だるくて仕方なかった。
だから、持っていく時間がまちまちになってリオンに待ちぼうけもさせた。

だけど、聞き届けてほしい。

リオンと一緒に暮らしたい。

幸せに出来るとは断言できない。
だけど絶対不幸にはしないから
一緒に暮らしたい。

どうか、私の腕の中から
リオンがすり抜けていきませんように。

片肢の私の白い猫を
必ず抱き上げられますように。
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# by lyon-sion | 2006-12-13 01:31 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(2)

子猫

クロ猫ちゃんを見送り、もしかしてリオンがまだいるのではと
相方は周囲を探しにいった。

私は私で、クロ猫ちゃんが戻ってくるかとその場で待ちつづけた。

15分ほど探し、リオンはもう寝床に戻ったようだから帰ろうということになった。

引越しまでの間、休日は次の土日の2日間だけ。
それがラストチャンスかもしれない。

2人で自転車を押しながら来た道を戻りながら
ふとこんなことを相方が言う。

「近くに子猫いたよ。茶トラの。ごはん探してたんだろうな、すぐ逃げちゃったけど」



リオンは白いネコだから、ぱっと見、成猫に見えるけれど
近くで見るとこじんまりというか、ちっちゃく感じる。

もちろん、満足にごはんを食べてなかっただろうし
私がごはんを持って行くようになって、1ヶ月が過ぎたけれど
脂肪が増えたようにも感じられない。
今の寒さを我慢できる程度しか、まだついてないんだろう。

リオンでそうなのだから
子猫は本当に小さいようだ。
そんな子が、やっぱりリオンと同じように、空腹と寒さに耐えているのか。

いや、リオンはまだいいかもしれない。
毎日ごはんを食べている分、違うと思う。
だけど、そのチビ猫はちゃんと食べることが出来ているんだろうか。



最近、私は下を向いて歩くようになった。
いや、正確には、家と家の間とか、倉庫の下とかを見ながら歩いている。

凍えている子がいるんじゃないか。
リオンを見てから、いつも思うようになった。

ニンゲンがいるから出てこれない。
だから、隙間でじっと身を潜めている。
あの子達も同じだった。

ネコにはテリトリーというものが明確にあると知ったので
同じ行動範囲にいるリオンとクロネコちゃんと茶トラの子猫は
一緒に行動することもあるのだろう。


相方がまた口を開いた。

「3匹?(笑)」


相方はネコと暮らした経験がある。
そういう意味では、家ネコさんがどんなものか、私よりも知っている。
その相方が、「3匹?」と聞く。

現実的な話ではないことだけは確かだ。
それにリオンを捕まえるのも苦労している状況で
ニンゲンを警戒している他の2匹が、簡単につかまってくれるとは思えない。


ただ。
リオンがいる場所の近くの住宅街の庭に、色とりどりのクリスマスイルミネーションが点滅しているのを見て、いつも思うことがある。
私自身も、リオンを待ちながら、体が冷え切っていく中で思う。

その僅かな電気でもいいから、この子達を暖めてもらえないだろうか。

イルミネーションはその住宅街の人しか見ないものだろう。
だから、それがもし無くなっても、別にどうってことはないよね?
だけど、この子達は体を丸め、寒さと戦っている。
明日も生きていかなきゃ、生きたいから、必死に耐えている。
だから・・・と。


自分が、リオンたちのいる場所で
そうしてやれないから、半ば、妬みの気持ちも起こってしまうのかと思った。

だから、家に帰って自分自身が暖房をつけることが
今はとてつもない罪悪感につながる。


こんなことを思っても、これから凍えているネコちゃんを何度も見かけてしまうのだろう。
そのたびに、救ってやることなど、私の力では到底無理な話だ。

だけれど。

やっぱりここで考えが止まる。

もし、子猫を私が連れて帰れないことで、淘汰されてしまう命だったらどうすればいいのか、と ずっと頭の中でぐるぐる回りつづけている。
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# by lyon-sion | 2006-12-08 01:53 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(4)

白い靴下をはいたネコ

願いは通じたらしい。

日曜日の18:00、リオンは姿を現してくれた。

会えてよかった。

そう思いながらも、引越しまでの時間がなくなってきたことで
焦る気持ちが膨らんでいく。


今日から新たに持ってきたものがある。
捕獲用の網だ。

100円ショップで売っている、ゴミ捨て場にくるカラスよけのグリーンの網。


この前、不意にリオンを追いかけてしまって
怖い思いをさせたばかりだけど
恐怖心をほぐす時間は、今はもうない。
引っ越してしまったら、もう毎日ごはんを持ってくるなんてできない。
だから、一日でも早く捕まえたい。



リオンがごはんを食べている時にいきなり網をかけてしまおうかと思ったけれど
それはさすがにかわいそうかと、待つことにした。

そこへ----------
不意に黒いネコが道を横切ってきた。

この子が話しに聞いていた、リオンとたまに行動をともにしている黒いネコちゃんらしい。

相方がリオンをいつ捕まえようかと
目の前で対している横で
思わず、「あ、黒ネコちゃん。。。」と声を出してしまった。

その言葉に反応したのか
リオンは所在なげに周りを見て、走り去ってしまった。

そして、その黒ネコちゃんは、リオンが食べていたごはんを見つけたようで
近くまできていた。

もうこうなったら仕方がない。
黒ネコちゃんに早く食べな、と声をかけ
見守ることにした。


そのとき、相方がこう言った。

「トモダチ(黒ネコちゃん)も捕獲?」

一瞬、何のことかと思ったが
リオンと一緒に行動している野良ちゃんを
置いていくのも忍びないと思ったのかもしれない。
もしかしたら、2匹で寄り添って暖を取ることもあるのかもしれない。

1匹も2匹も、ケヅメリクガメを2匹育ててる私にすればなんのことはない。

だってネコは、自分で歩いて食べて排泄してくれるから。
まして、リオンのように障害を持っているわけでもないからなおのことだ。

だから、
「捕まえられたらね」
と答えておいた。


結局、黒ネコちゃんはごはんの近くまでは来たけれど
警戒して、食べないまま去ってしまった。

いなくなってしまっては仕方がないと
一旦、自宅に戻って食事をとり
3時間後にまた行ってみた。

リオンは、18:00の時点であらかたごはんを食べていたから
もうこないはずだ。
その代わり、道路を横断して寝床らしき場所へ向かう
黒ネコちゃんを見かけた。

街灯に照らされた黒い毛に被われたなかで
まるで靴下を履いたように、白い毛の肢が見えた。


ごはんのある場所は、きっと今日で覚えたのだろう。
明日もまた、リオンと同じように
同じ時間に、姿を見せるかもしれない。
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# by lyon-sion | 2006-12-03 23:49 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(2)

信頼

気温7℃。

とうとう吐く息が白く舞うようになった。

今日は21:00に仕事から帰ってきた。

最近、リオンは18:00頃に待っているらしい。
近所の人が教えてくれた。

いつもは20:00だったけれど
残業で遅れがちになって、ごはんを持っていけるのが22:00頃になる日が続いた。



「いつもの20:00」
お腹を空かせて、いつものフェンスの場所に、いつもの時間に来てみたけれど
ごはんの入れ物は、まだからっぽ。
あきらめて、少しでもあったかいところへ行こう。



きっと、そうしているのだろう。

だから、22:00にごはんを持っていっても、会えない日が続く。
ココロの拠り所は、翌晩のかっらぽの容器だった。

遅い時間でも、ごはんを置いておけば
翌日、またフェンスの場所に来たときに食べてもらえるはず。
そう信じて、前の晩の容器を片付け
新しい容器に入れたごはんと、わずかばかりでも温かい湯沸しから汲んできた水を置いておく。

近所の人が、
「最近は18:00頃に来ているよ」
そう教えてくれた。

なぜ18:00?

前の晩の20:00に来て、ごはんがなかったから
翌日、お腹がすいてなんとなく来たのが18:00なのかもしれない。
そこには、私が前の晩22:00に置いておいたごはんが残っていた。
だから、この時間にくれば、またごはんがあるかもしれない。
そう考えたのかもしれない。



濡れるのを嫌うのが猫だから
雨の日はごはんはそのまま残っていた。
倉庫の太い配管が、雨よけになってくれる場所が20cmほどあるから
そこへ手を伸ばし、濡れないようにまた新しいごはんを置いておく。
それでも、18:00に待っていたのだろうか。
それともお腹を空かせたまま、雨宿りをしているのだろうか。

日々、気温は下がりつづけていく。
無情にも、その寒さに加え、雨が降る。
そしてその雨は、気温を引きずるようにもっともっと下げていく。

そんな日が2日続いた後、雨もやみ、18:00にいける日ができた。
いつものように自転車であの場所へ向かう。
でも姿はない。
ごはんだけ、取り替えておこうと準備を始めると
視界にリオンが入ってきた。

耳を精一杯そばだてて、私の自転車の音を聞きつけてくれたのかもしれない。

家も決まった。
2週間後には新居へ引越しをする。
肢の怪我の治療や健康チェックの時間を考えると
そろそろリオンを捕まえなくてはいけない・・・・・

いつもより、もっと手前のフェンスぎりぎりのところへ
ごはんを置いてみる。
だめでもともと、ごはん容器の脇で
手にフードを乗せて「おいで」といってみる。

もちろん手からは食べてもらえなかったが
それでも、そのフェンスぎりぎりのごはん容器から食べてくれた。

もし、可能なら、と
容器を持ってみた。
一瞬、リオンは身を引いたけれど
少し時間を空けて、私を観察した後
手にもった容器からごはんを食べてくれた。

夢中で食べるリオンの顔に手首の辺りをくっつけてみた。
ふわふわと柔らかい毛に触れた。
容器は両手で持ったままだったから
手首の内側で触れた感触でしかないけれど
少しだけ、リオンの体温が感じられた。

食べたままでもいい。
ごはんの匂いのほかに、私の匂いも覚えてほしい。
リオンにとって、私は敵ではないことを。

味方なのだから、その心の警戒を緩めてほしい。



ごはんを食べ終わったリオンを見送り、家路についた。
明日の金曜は18:00には行けない事が分っていたから
あさっての土曜に、また18:00に行けば会えると思っていた。

そして金曜日、私はまた22:00過ぎにごはんを置きに行った。
どうせ今日は会えない。明日の土曜にしか会えない。
新しいごはんを置き、スーパーで買い物をして帰るつもりだったけれど
もう一度だけ、覗いてみることにした。

ごはんはそのままだった。
でも、目の前にリオンはいた。
22:00なのに。
また自転車の音を聞きつけてくれたのかもしれない。

とりあえず食べている様子を見ていた。
周りからは、車や電車や、スーパーの通用口の鉄扉の開閉の轟音が鳴り響いていたけれど、いつもよりも夢中で食べていた。

昨日できたから、今日も。
そんな魔が差した。

いつもの場所に置いておいたごはんを
フェンスぎりぎりまで引いてみた。
また、容器から食べてくれるだろうか。
そんな甘い気持ちだった。

驚いたリオンは食べるのをやめ、かくんかくんと体を傾けながら
走り去ってしまった。
私は、そのまま早足で追いかける。

もっと怖がらせることになりそうだったけれど
リオンは私のほうを振り向きながら走るのを追いかけてしまった。
5度目に振り返ってから、車の通る道のほうへ行ってしまった。
その先は、発砲スチロールの寝床らしきものがある場所と
聞いて知っていたが、いつもならスーパーの敷地内を横断して行くのに
私が追いかけたから、車の通る道から行かせてしまった。

とりあえず、その寝床らしきものがあるエリアに入ったことだけ
確認をして、立ち去ることにした。
これ以上、追いかけたら道路に飛び出すかもしれない。



帰り道、後悔の思いしか湧きあがってこなかった。
明日があるのに、なぜ事を急いてしまったのだろう。
明日、また来てくれるだろうか。
もう来てくれないんじゃないのだろうか。

リオンのもとへ行く道で吐いた息の白さよりも
今こうして帰る道での方がもっともっと白くて
もっともっとゆっくり舞い上がるのに気付いた。
また気温は下がっているのだろう。

私はしっかりと着込んで、リオンのもとへ通っているけれど
それでも、帰宅した時は、手足の感覚がないこともある。

いくら密集した毛で覆われているといっても
生身の体で、この寒さに耐えている。

リオンと一緒に見かけたと聞いた、クロ猫ちゃんだって
そうなのだろう。

耐えて耐えて耐えて、わすかな暖かさと
食餌を求めて歩いている。
それを、今日、私は追い詰めてしまったかもしれない。

寒さや空腹に耐えるのだって、人間には厳しくて出来ないことだ。
でも、あの子達はそれが日常。
そのうえ、人間に追われたら、行き場も奪いかねないことになる。
でも、そうさせたのは私だ。


私とリオンをつなぐ「明日」は、まだあるのだろうか。
信用を失いかねないことをした私を許してくれるだろうか。


野良猫を捕獲して、保護しているHPを見てみた。
寒さと空腹に命を奪われた、野良猫の兄弟の話を読んだ。

かわいそうでかわいそうでかわいそうで泣けた。
リオンにも、ほかの野良猫にもそんな思いはさせたくない。

でも、たいした術も力も私は持っていない。
だからせめて、リオンだけは守らせてほしい。
リオンの一生を預からせてほしい。

猫の神様がいるのなら
信頼を取り戻し、私が抱き上げるまで
どうか人間社会から守ってほしい。
ムシのいい話かもしれないが、どうか聞き届けてほしい。

明日をつないでほしい。
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# by lyon-sion | 2006-12-01 23:47 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(0)

離れよう。

リオンをお迎えすると決めて、まず取り掛かったことがある。

ペット飼育可能物件への引越し。

今はリクガメを育てているけれど
鳴かない動物は飼育OKだった。
ということは、鳴く猫や犬はNG。

去勢はするつもりだったから、
万一鳴かれてもたいしたことは無いんじゃないかと思ったが
それは私個人の感覚である以上、もう今の家は出ざるを得ない。

私は遠距離通勤をしている都合で、出来ればこれ以上電車の乗車時間は増やしたくない。
ならば、と、今住んでいる町の中で、移転することに決めた。

ネットの沿線住宅検索で日ごろ利用している駅名を入力し
間取りでも広さでもなんでもなく、「ペット可」のチェックを入れて検索すると
わずか10数件のヒットしかなかった。

転勤時期でもないから仕方ないかと思いながらも
試しに「ペット可」のチェックを外して検索をかけてみると
300数十件のResultが並ぶ。

なんて了見の狭い世の中なのか。

そんなことを毒づきながら
それでもペット可の物件を片っ端から問い合わせる。

でも。
不動産からの回答は全滅だった。
犬ならOKだけど猫はダメ。
というものだった。

納得がいかない私は、直接不動産に連絡をし理由を聞くことにした。

「猫は室内を荒らしますから、大家さんが嫌うんです」

それは、犬よりも身軽で高い所にも軽々と飛び乗れるし爪とぎもする。

だけれど、リオンは片肢がない。
高さ80cmあまりのフェンスを飛び越えることももう出来ない。
だから、普通の猫ちゃんとは違うんだということを説明してみたが
返事は芳しいものではなかった。



そうこうしながらも、ごはんをリオンが待っている場所へ
毎日持っていき続けた。
フェンスを乗り越えれば、もうすぐ抱き上げられそうな気もし始めたので
お迎えするなんて決めたはいいけれど
実際にお迎えする家が見つからないのだから
なんとも無責任な話だ。

それから数日後、ネットの賃貸住宅情報がアップデートされていたので
再び検索を試みた。
2つ、ペット可物件が新着として登録されていた。

だめでもともと、もう探さなければリオンをお迎えできない。
すぐに問合せて、翌日の連絡を待った。


仕事中の私の携帯には、昼までに2件の着信が入っていた。
2件とも、夕べ問い合わせた不動産だった。

1件目は、やっぱり猫だからという理由で断られた。
でももう1件は、猫飼育Okとの返事。
内見をすぐにお願いして、電話を切った。

言いようのない安堵感を覚えながら昼食に行き
改めてその物件のアドレスを携帯で見てみた。

広さは申し分ない。
今の住居の1.5倍はある。
だけど・・・家賃も1.5倍だった。
もちろん、家賃を知った上で問合せをしているけれど
ふと我に返ってその金額を眺めてみると、不安もあった。

普通、家賃と言うものは月収の30%までと言われるらしい。
我家は共働きなので、1.5倍になってもなんとか支払っていくことは出来る。

だけど、そうなると貯蓄があんまり出来なくなる。

動物を育てるには、いろいろ弊害がある。
家を間借りしている以上、契約内容に捕われるのは仕方の無いことだ。
だから、文句を言われないよう、マンションでも一戸建てでも
なんでもいいけれど、自己所有にならなければいけない。



迷った気持ちを持ちながらも、休日に内見に向かう。
今の住居から、歩いて10分かからない。
駅までは少し遠くなるが、猫OKなのだからそのくらいの我慢はなんでもない。
メゾネットタイプで、同じような家が5件並んでいる。
中庭も有る。
広さも日当たりも申し分なかった。
猫OKというほかに、うちのリクガメたちを育てる上でもいい部屋だった。


いったん駅まで出てコーヒーショップに入り、慎重に考えた末に、
その物件を借りることにし申し込みも済ませた。

これで問題無くリオンをお迎えできる・・・と思ったのもつかの間で
やっぱり、どこかしら不安を抱えたまま借りる物件というものは
ケチがつくらしい。


夜になって、不動産から連絡がきた。

家賃が間違っていました。

そういわれる。
リオンをお迎えできる安心感のなかで、青天の霹靂、だったと思う。


聞けば、そのメゾネット5件のうち、空室は2件。
私たちが見たほうは、高いほうの家賃の物件だったが
管理会社が物件資料を取り違えていて、安いほうの家賃を提示していた。
大家とも話し合い、このままでは申し訳ないので
5000円だけ家賃を下げるから、その高いほうの部屋を借りることにしてほしい。
狭いほうの部屋は、もう別の人が申込を済ませている・・・


それでは、今の家の家賃の2倍近くなる。
答えを保留したけれど、その後の大家と管理会社の対応も
ひどいものだった。
仲介している不動産には何の罪も無いが
それでは、ただ内見に連れて行ってくれた案内人でしかない。
仲介する以上、そのあたりの交渉はしっかりとやってくれるのかと思ったが
その担当者には、それだけの力量もなかった。

最初は無理をする気でいた。
共働きの強みだと思う。
だけど、大家と管理会社がありえない取り違えをし
仲介の不動産も私からの要求にオロオロするばかりだった。

申し込む前に、まともな対応が出来ない。
家がどんなに良くても、そんな人たちから自分達の住む安息の場を
借り受けるには不安が多すぎた。
結局は破談になった。

また、探さねばならない。
この際、中古マンションを買ってしまおうかと探し、かなりいい物件を見つけた。
広いし日当たりもいい、駅まで15分。築年数も浅い。
これなら、20年ローンで済ませられる。
そう思ったけれど、その中古マンションは居住中で
引渡しは来年3月。
もちろん、そんなに待てないから、あきらめることになった。


もう今の家の近くで探すのはあきらめ
この市を出ることにした。
通勤時間が延びても、もう背に腹は代えられない所まできてしまった。
気温が10度を下回る日が多くなった。
まさか、雪がちらつくころまで
リオンをそのままにはしておけない。

2駅ほど離れたところに、新興住宅地がある。
街並みのいたるところにペット用品屋が並び
ドッグカフェも駅から数分の所に2件もある。

新しい街だからこそなのだろうが
部屋を間借りする身で
古い町では得られない理解を求めることの出来るこの街に
移り住んでみようと言う気持ちになった。

今の市では考えられないほど、あっさりと猫を育ててもいいという家が見つかった。
築年数こそ15年だが、内装はリフォームされていた。
こんなに綺麗な部屋に猫を入れてもいいんですか?との問いに
不動産の担当者はかまいませんと即答してくれた。
家賃も今の家とそう変わらない。
これで安心して貯蓄を続けられる。

やっぱり、不安が付きまとうことには、良い結果と言うものは得られないと
今回の件で思い知った気がする。

でも、これで安心してリオンをお迎えする準備が整った。
部屋探しに1ヶ月も費やしたけれど、なんとかなった。

今住んでいる場所は、小さい頃からの憧れの土地で
移り住んで来た時に、移転連絡をするたび、その住所を書くのが嬉しかった。

だけど、それよりも大事な存在を見つけた。
だから、もう迷いは無い。
離れよう。
いつか、家を買ったら戻って来るかもしれないけれど
リオンのために、今は離れよう。

そして、リオンと私たちを一緒に迎え入れてくれる街に行こう。
きっとそこには、楽しいことがいっぱい待ってるはずだから。
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# by lyon-sion | 2006-12-01 01:32 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(4)

防衛

リオンにごはんを持っていくのも5日が過ぎた。

会社から帰って、リオンのもとに行けるのはやっぱり夜8時~10時頃。

車の通る道から脇にそれたこの道は、先がすぼまるように伸びていて
車の通り抜けができない。

だから、この道を通るのは、ほとんどこのあたりの住人に限られる。


そんな場所で、毎夜フェンス越しに手を伸ばし
ランチパックの容器を差し入れる私の姿を、訝しげに見る人も多かった。

ランチパックはクリーム色の容器本体に、透明のフタがついているもので
最初はクリーム色の容器に、フードを入れてあげていた。

4日目の夜に、リオンが少し食べ残しをしたので、
いつもなら容器を回収して帰るところをその日は置いて帰る事にした。
でも、夜目にでも浮かび上がるクリーム色の容器は
誰が見ても野良猫にエサをあげているのがはっきりわかった。

事故か虐待かはわからないけれど
いずれにしろ、人間に傷つけられたのは確かなようだから
クリーム色の容器を置いておくなどとは
倉庫下にネコがいることを知らしめるようなものだった。

なるべく食べ終わるまでは、そばにいて見守り
容器は必ず持ち帰るようにすることにした。

だけど、ネコは食べものの確保ができたとなると
安心して休憩したり、後でゆっくり食べようと取って置いたりもするようだから
何がなんでも持ち帰るわけにも行かないということも起こりえる。

要は暗がりで目立たなければいい。

クリーム色の容器は、料理するときにでも使うとして
リオンのフードと水は、透明のフタ(深さ1.5cm程度)にそれぞれいれておくことにした。

夜でも目立たないし、翌晩回収するまで
通りかかった人にも気付かれにくいはず。



ランチパックは容器と透明のフタ3個セットで売っていたので
1回ごはんをあげる度に、フタだけ2個使う。

いつかスーパーの人に見つかったとき、少しばかりでも心証が良くなるように
ランチパックとフードは、そのスーパーで買ったものしかあげなかった。
バカな考えかもしれないが、
野良猫にこそこそやってても、それでも私はフードとランチパックを買う「客」という
最後の砦みたいなものがほしかった。

だから、ホームセンターで50個入りくらいのを買っておこうかとも考えたけれど
結局、2日に1回、割高でもスーパーでランチパックを買っていた。

それでも。
やっぱり毎日通えば、通りすがる人の中で
何回か顔を合わせてしまう人も出てきてしまった。

リオンにごはんをあげ、そばにいるときはまだいい。
でも、あまり食べてるのをじっと見ているのも、リオンにはストレスになるかと思って
5mくらい離れた所で待っているほうが、一見怪しまれてしまう。


覚悟を決め、スーパーの店長に打ち明け
近日中に保護するから、今はごはんをスーパーの敷地内にいるネコに
あげることの許可を求めてみようと思った。

交渉ごとというのは緊張するものだが
失敗はできない。
だって、リオンは、今すぐ私に抱き上げさせてくれないから。
これが出来れば、こんな交渉はしなくてもいいのだが
警戒心が強い今は、それは無理と言うものだった。

ランチパックを買う心境と同じく
「客である」というStanceだけは守りたい小心者の私だったが
それでも精一杯にこやかに謙虚に、
そして今購入した晩御飯の食材の入ったスーパーのビニール袋を
両手でしっかり持ちながら、従業員の男性に声をかけた。

「店長さん、いらっしゃいませんか?」

あいにく、店長は帰宅後だったので
マネージャーという肩書きの方が対応してくれることになった。

マネージャーは抜かりなく、私の手に持っているスーパーのマークの入った
ビニール袋に目を遣り、低姿勢で対応をしてくれる。

私もこれ以上は、このスーパーとなんの関わりがあるわけでなし
買い物客であるという立場というものを、この交渉事が始まった時点で
使い果たしてしまったので、後は誠意で押し通すしかなくなっていた。

そして、
野良であろう白いネコがスーパーの敷地内の倉庫下にいること
その子は肢を無くしていて行動範囲が狭いこと
近日中に引き取りたいが、野良であるゆえ警戒心が強いから今すぐ連れ帰れない
などと言うことを説明した。
そして、警戒心が薄まったら、すぐにでも捕まえて病院へ連れて行くことを伝え
それまでは、エサ皿は毎日食べさせ終わったら撤去するから
あげ続けさせてほしいとお願いしてみた。

これは「お願い」であると同時に
白いネコは私のネコであるということを伝え
今は野良だからといって追い払い危害を加えないでくれという「告知」のつもりでもあった。

厚かましい話しであることは分っていたが
日中、ここに来ることが出来ない身では
リオンをニンゲンから守ってやることができない・・・・・


話を聞き終わったマネージャーの顔は
特に変わらなかった。
でも。

あげるだけならかまいませんよ。

という返事をもらうことが出来た。

もちろん、「敷地内に入らない」でエサをあげるという言葉が隠されてるのは
いやでも伝わってきたけれど。

でもとりあえず、許可のようなものはもらえた。
これで、毎夜、私がフェンスの中を覗きながらこそこそやって
誰かに咎められたとしても、説明をすることが出来る。

とりあえず、とりあえずでしかないけれど
これで、少しの間の安心を得ることが出来たし
リオンをこの敷地内でだけは守ってやることも出来る。

つかの間の安心でも、心は晴れ
数日振りに、冷たい風の中、自転車を漕いで帰る道で
「心配」の二文字を忘れることが出来た。
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# by lyon-sion | 2006-11-25 01:08 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(2)

名前

ココロは決まった。

お迎えしよう。


それからusedでネコ飼育に関する本を買いまくり読み漁る日々が始まった。

5冊目を読み終えたとき
たまたま当たった本が充実したものだったからこその感想だけど
「なんでも知ることが出来るんだな」
そう素直に思った。

私は2匹のケヅメリクガメを育てているけれど
育て始めた頃は、躓きの連続だった。

大きいほうの「むんば」を育て始めたとき、腎臓機能の弱いこの子のことで
数少ないカメ本をすべて買い、いろんな人のHPを見た。
この子にあう症例や行動はどれが当てはまるのかを探して考えた。

小さいほうのモグを迎えた当初はもっと大変だった。
むんばの時のように、補液で腎臓を動かずという治療方針が明確になったけど
この子は、免疫が弱いのが最たる「病気」であって
それから引き起こされるいろいろな症状は
免疫そのものを回復させなければ、根本的な治療が出来なかった。

でも。
ネコちゃんに関しては、明確で治療方法もたくさんあるし
食餌についての栄養学や、行動についてなど
なんでも本で知ることが出来る。

ネコちゃんと暮らしたことがない私だけれど
これなら、ちゃんとお世話が出来そうだという自信がついた。

それに、これはどんな事でも同じだと思うのだけれど
ネコに関する本がたくさんあったとして
自分の選んで買った本が、あの野良猫ちゃんに対して最適な本ではないけれど
何冊も出ているのだから、たくさん読んで
「正しい」もしくは「あの子に合っている」という事例を
探して抜き出すことが出来る。
10冊あって6冊が同じ症例を書いていたとしたら、それは有効、であるはずだ。

これがカメさんでは出来なかった。
ネコちゃんを育てている多くの人にとっては
「あたりまえ」の知識も
私にとっては「重要な新しい知識」だから
それがすぐに探せる状況は、すばらしいな、なんて思った。

それにカメさんと違って
遠くの専門病院に行かなくても
いわゆる町のクリニックのように、地元の動物病院で診察が受けられる。

もしあの子が具合が悪くなったとき、そのサインを見逃すこともあるかもしれない。
だけど、カメさんたちのように片道2時間かけて診察に向かうわけではなく
徒歩圏内ですぐに診察が受けられるということは
大事に至る確立も減るはず。

これなら、安心してお迎えできる。

別に、今、捕まえることが出来て病院に連れて行き
治療を開始したわけでもなんでもないけれど
なんというか、自分のネコに関する知識の無さを補う手段を見つけられたことで
言いようのない安心感を得ていた。

もう、必ずうちにお迎えして幸せにする。

そう確信して決めた瞬間だったと思う。


そして。
いつまでも「野良ちゃん」と呼ぶのも変だと思い
名前を決めることにした。

「Lyon(リオン)」

花の「スピード・リオン」という耐寒性の多年草の名前を頂いた。

今日からは、「Lyon」
そう決めた。

だから、もうどこへもいかないでよ。
少し風が強くて、寒い夜、そう傍らでごはんを食べているリオンに声をかけた。
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# by lyon-sion | 2006-11-20 02:07 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(4)

かくん、かくん

一度待っていてくれたのだから、きっと今日も待ってるはず。

そう思えば、疲れて帰ってきても
ごはんを持って、出かける気力が湧いた。

スーパーの倉庫の土台の下で、その子はやっぱり待っていた。
自転車のブレーキの音で、ごはんをあげて3日目で外まで顔を出してくれるようになった。

警戒はあいかわらずだけど、最初に比べれば驚くべき進歩だ。


とりあえず、栄養のあるものを食べ、きれいな水を飲ませて
痩せた体をなんとかしたかった。

野良ちゃんは、食餌が満足に取れないこともそうだけれど
汚染された水を飲んだりして、具合を悪くすることも多いのだと
本で読んで知った。

だから、何があろうとも毎日。
必ず毎晩来て、ちゃんと食べさせ水分を取ってもらいたい。

本当なら、1日2食~3食に分けてごはんはあげたほうがいいみたいだけれど
こうして持ってくるごはん代も稼がないといけないから
そこだけは勘弁してもらい、とりあえず私がくれば
その場はお腹いっぱいになるのを覚えてもらうことにした。


2日目よりは、ごはんを食べるペースがゆっくりになった。
かっ込む度合いが低くなったといえばいいだろうか。
少しは味わって食べてくれてるのだろうか。

ちょろっと水も飲んでくれた。
少しだけ安心することができた。

だけど。
水を飲むために、ごはんの容器から体をずらしたときに見えた。
「かくんかくん」と走る原因を。

左肢の(おそらく)第1関節から下が無かった。
肢が無かった。

傷口も少しだけ見えた。
血は乾いていたけれど、赤黒い痛々しい傷口だった。

でも、この子を初めて見たとき、走っていた。
あたりまえだけど、靴なんてないから
傷口をコンクリートの地面に、少しであれこすりながら
踏み蹴って走っていた。

スーパーの倉庫裏、住宅が立ち並ぶ道だけれど
ごはんを一生懸命食べているこの子を見て、泣けてきた。
これがつらいことではなくて、何がつらいのだろう。

でも、それでも何かを食べて生きていこうとしている
この子に申し分けなくて泣けた。

人間から走って逃げ、命を守るという術を
肢を無くしたことで失ったこの子は、それでもなお、必死で生きている。

人間が負わせた傷なら、人間が治し命を守ってやらなきゃいけないんじゃないのか。
傷を負っただけでも十分だと思った。

もうこの子は、つらい思いをする必要は無い。
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# by lyon-sion | 2006-11-19 03:27 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(0)

出会い

私との出会いは2006年11月3日夜8時。

3連休の初日、遅い夕食の材料を自転車で買い物に行ったときのこと。

スーパーの裏手から入ろうとした私に、走り去ろうとする白いネコが目に入った。

様子がおかしいのはすぐにわかった。

肢をケガでもしているのか、片側にかくんかくんと体を傾けながら走っていた。

気になったから、買い物をさっと済ませ
また、スーパーの裏手へ向かう。

スーパーの敷地内のプレハブ倉庫の土台の下で
その子は、ちょこんと座っていた。

私を視線の先に捕らえると
警戒するかのように、前傾姿勢になる。

でも、それもおかしかった。
やっぱり少し、体が傾いていた。


ケガか。
痛いだろう、治してやりたいけれど。

そう思いはしたけれど、では、治療してどうする?
うちにはリクガメがいる。
つれて帰れるのか。

では、このまま放っておくのか?
状況を知っておいてそれはできない。

なぜなら、初めて心底触れ合った猫を
事故で亡くしたから。

目の前にいる子は生きている。
でも傷口が化膿したらどうなる?

今だって十分寒い。
この冷たい風に耐えながら、痛みにも耐えなければいけないのか。




私は、幸か不幸か、猫に対するイメージというものに
まるで漫画のような印象しか持っていない。

世間では、不幸にも捨てられたりして、野良猫にされてしまった子がいることもしっている。

でも、目の前で震えながらも全身で自分の身を守るべく
痩せた体を硬直させている猫を、間近に見たことはなかった。



うちでは育ててやれない。
だけど、せめて食餌をとらせ、お腹を満たしてやることをしたかった。

そのまま、スーパーに引き返し
ドライフードと水と、それを入れるランチパック容器を買い
白い猫の元へ戻った。

今となっては不思議なことだけれど
その子は、まだそこにいた。
待っていたわけではない。
でも、立ち去らなかった。

スーパーの敷地のフェンス越しで
ドライフードを食べさせながら、もう心は揺れていた。
野良猫に食餌をあげるということは、どういうことかを噛み締めながら考えた。

でも、答えは出ない。
「また、明日くるよ」
そう声をかけ、私は家に戻った。


猫は時間がわかる。

家に帰ってから、いくつかのHPで知った私の最初の「猫に関する行動知識」だ。

猫の必須栄養のことや、体のことについては知識はあったけれど
肝心の「猫と暮らした経験」がない私は、行動のことは何も知らないに等しい。

11月4日になって、暖かい日中のうちに、またごはんをあげに行こうなどと考えたが
もしかしたら、また夜8時に、あそこにいるのではと考え直した。
そして、もしいたとしたら、それはごはんを待っているということなのかもしれない。

夕べよりも空気は冷たくて、自転車を漕ぎながら受ける向かい風が
羽織っていたフリースの隙間へ抜けて寒い。
でも、私には家がある。
帰れば暖かい部屋がある。

でも、コンクリートの上で、4肢をお腹の下に入れて丸まりながら
じんわりと伝わってくる冷たい場所しかないあの子はどうなのだろう。


そして、その子は昨日と同じように
冷たいコンクリートの上にちょこんと座って待っていた。

なんと言えばいいのだろう。
可哀想という感情が無いといえばウソだし
では、心底可愛くて抱き上げたいというものでもなかった。

ただ、抱き上げて人のぬくもりを、
この子用のベッドを作り、その柔らかさを
四肢を伸ばし、緊張をほぐし
穏やかなときをあげたかった。

そして、お互いが常に必要とするでもなく
甘えたいときに甘え、気ままに過ごしたいときはそれを尊重しあう
そんな関係を作っていけたら
そのとき、幸せにしてやれることにもつながるかもしれない。


もちろん、今すぐに抱えて連れ帰るわけにも行かない。
まして今私がこの子と向き合ってる空間にはフェンスがある。
まず、私に慣れてもらうことから始めよう。


凍える夜が来るまで、もうあんまり時間も無い。
それにここはスーパーの倉庫だ。
毎日ごはんを持ってくるのだって、いつ見つかって何を言われるかもわからない。
そこから始めなきゃ。
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# by lyon-sion | 2006-11-16 00:51 | リオンとの出会い~お迎え迄 | Trackback | Comments(4)