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元・野良ちゃんで肢を無くしたリオンとFIPでも元気に頑張ってる局長の日々。


by lyon-sion
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信頼

気温7℃。

とうとう吐く息が白く舞うようになった。

今日は21:00に仕事から帰ってきた。

最近、リオンは18:00頃に待っているらしい。
近所の人が教えてくれた。

いつもは20:00だったけれど
残業で遅れがちになって、ごはんを持っていけるのが22:00頃になる日が続いた。



「いつもの20:00」
お腹を空かせて、いつものフェンスの場所に、いつもの時間に来てみたけれど
ごはんの入れ物は、まだからっぽ。
あきらめて、少しでもあったかいところへ行こう。



きっと、そうしているのだろう。

だから、22:00にごはんを持っていっても、会えない日が続く。
ココロの拠り所は、翌晩のかっらぽの容器だった。

遅い時間でも、ごはんを置いておけば
翌日、またフェンスの場所に来たときに食べてもらえるはず。
そう信じて、前の晩の容器を片付け
新しい容器に入れたごはんと、わずかばかりでも温かい湯沸しから汲んできた水を置いておく。

近所の人が、
「最近は18:00頃に来ているよ」
そう教えてくれた。

なぜ18:00?

前の晩の20:00に来て、ごはんがなかったから
翌日、お腹がすいてなんとなく来たのが18:00なのかもしれない。
そこには、私が前の晩22:00に置いておいたごはんが残っていた。
だから、この時間にくれば、またごはんがあるかもしれない。
そう考えたのかもしれない。



濡れるのを嫌うのが猫だから
雨の日はごはんはそのまま残っていた。
倉庫の太い配管が、雨よけになってくれる場所が20cmほどあるから
そこへ手を伸ばし、濡れないようにまた新しいごはんを置いておく。
それでも、18:00に待っていたのだろうか。
それともお腹を空かせたまま、雨宿りをしているのだろうか。

日々、気温は下がりつづけていく。
無情にも、その寒さに加え、雨が降る。
そしてその雨は、気温を引きずるようにもっともっと下げていく。

そんな日が2日続いた後、雨もやみ、18:00にいける日ができた。
いつものように自転車であの場所へ向かう。
でも姿はない。
ごはんだけ、取り替えておこうと準備を始めると
視界にリオンが入ってきた。

耳を精一杯そばだてて、私の自転車の音を聞きつけてくれたのかもしれない。

家も決まった。
2週間後には新居へ引越しをする。
肢の怪我の治療や健康チェックの時間を考えると
そろそろリオンを捕まえなくてはいけない・・・・・

いつもより、もっと手前のフェンスぎりぎりのところへ
ごはんを置いてみる。
だめでもともと、ごはん容器の脇で
手にフードを乗せて「おいで」といってみる。

もちろん手からは食べてもらえなかったが
それでも、そのフェンスぎりぎりのごはん容器から食べてくれた。

もし、可能なら、と
容器を持ってみた。
一瞬、リオンは身を引いたけれど
少し時間を空けて、私を観察した後
手にもった容器からごはんを食べてくれた。

夢中で食べるリオンの顔に手首の辺りをくっつけてみた。
ふわふわと柔らかい毛に触れた。
容器は両手で持ったままだったから
手首の内側で触れた感触でしかないけれど
少しだけ、リオンの体温が感じられた。

食べたままでもいい。
ごはんの匂いのほかに、私の匂いも覚えてほしい。
リオンにとって、私は敵ではないことを。

味方なのだから、その心の警戒を緩めてほしい。



ごはんを食べ終わったリオンを見送り、家路についた。
明日の金曜は18:00には行けない事が分っていたから
あさっての土曜に、また18:00に行けば会えると思っていた。

そして金曜日、私はまた22:00過ぎにごはんを置きに行った。
どうせ今日は会えない。明日の土曜にしか会えない。
新しいごはんを置き、スーパーで買い物をして帰るつもりだったけれど
もう一度だけ、覗いてみることにした。

ごはんはそのままだった。
でも、目の前にリオンはいた。
22:00なのに。
また自転車の音を聞きつけてくれたのかもしれない。

とりあえず食べている様子を見ていた。
周りからは、車や電車や、スーパーの通用口の鉄扉の開閉の轟音が鳴り響いていたけれど、いつもよりも夢中で食べていた。

昨日できたから、今日も。
そんな魔が差した。

いつもの場所に置いておいたごはんを
フェンスぎりぎりまで引いてみた。
また、容器から食べてくれるだろうか。
そんな甘い気持ちだった。

驚いたリオンは食べるのをやめ、かくんかくんと体を傾けながら
走り去ってしまった。
私は、そのまま早足で追いかける。

もっと怖がらせることになりそうだったけれど
リオンは私のほうを振り向きながら走るのを追いかけてしまった。
5度目に振り返ってから、車の通る道のほうへ行ってしまった。
その先は、発砲スチロールの寝床らしきものがある場所と
聞いて知っていたが、いつもならスーパーの敷地内を横断して行くのに
私が追いかけたから、車の通る道から行かせてしまった。

とりあえず、その寝床らしきものがあるエリアに入ったことだけ
確認をして、立ち去ることにした。
これ以上、追いかけたら道路に飛び出すかもしれない。



帰り道、後悔の思いしか湧きあがってこなかった。
明日があるのに、なぜ事を急いてしまったのだろう。
明日、また来てくれるだろうか。
もう来てくれないんじゃないのだろうか。

リオンのもとへ行く道で吐いた息の白さよりも
今こうして帰る道での方がもっともっと白くて
もっともっとゆっくり舞い上がるのに気付いた。
また気温は下がっているのだろう。

私はしっかりと着込んで、リオンのもとへ通っているけれど
それでも、帰宅した時は、手足の感覚がないこともある。

いくら密集した毛で覆われているといっても
生身の体で、この寒さに耐えている。

リオンと一緒に見かけたと聞いた、クロ猫ちゃんだって
そうなのだろう。

耐えて耐えて耐えて、わすかな暖かさと
食餌を求めて歩いている。
それを、今日、私は追い詰めてしまったかもしれない。

寒さや空腹に耐えるのだって、人間には厳しくて出来ないことだ。
でも、あの子達はそれが日常。
そのうえ、人間に追われたら、行き場も奪いかねないことになる。
でも、そうさせたのは私だ。


私とリオンをつなぐ「明日」は、まだあるのだろうか。
信用を失いかねないことをした私を許してくれるだろうか。


野良猫を捕獲して、保護しているHPを見てみた。
寒さと空腹に命を奪われた、野良猫の兄弟の話を読んだ。

かわいそうでかわいそうでかわいそうで泣けた。
リオンにも、ほかの野良猫にもそんな思いはさせたくない。

でも、たいした術も力も私は持っていない。
だからせめて、リオンだけは守らせてほしい。
リオンの一生を預からせてほしい。

猫の神様がいるのなら
信頼を取り戻し、私が抱き上げるまで
どうか人間社会から守ってほしい。
ムシのいい話かもしれないが、どうか聞き届けてほしい。

明日をつないでほしい。
by lyon-sion | 2006-12-01 23:47 | リオンとの出会い~お迎え迄